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【本島】フリッツ・ハンセン島 過疎化が進む島をインテリアの力で活性化! 瀬戸芸秋会期に合わせ展示イベント

瀬戸内国際芸術祭の会場として盛り上がる香川県丸亀市の本島では、秋会期に合わせて島の古民家などに北欧家具を展示するイベントが行われています。

企画された背景には「過疎化が進む島をインテリアの力で再生し、活性化したい」という思いがありました。

北欧家具を展示するイベント「フリッツ・ハンセン島」

港やバス停、本島のいろいろな所に置かれた柔らかい風合いの家具。
これらは、1872年にデンマークで創業した老舗のインテリアブランド「フリッツ・ハンセン」のものです。
本島では瀬戸内国際芸術祭の秋会期に合わせて、島全体に北欧家具を展示するイベント「フリッツ・ハンセン島」が行われています。

伝統的な町並みが残る笠島地区には築100年ほどの古民家を改修した休憩所が登場。
約40点の北欧家具に、本島の盆踊りの歌をアレンジした曲が流れています。

(「フリッツ・ハンセン島」を企画・運営 髙木智仁さん)
「僕らが手を加えているのはフローリングや壁を手直しした程度。もともと持っていた古民家の良さとフリッツ・ハンセンの家具がぎゅっとここに詰まっている。お互いが引き立て合っているという感じは、僕らも実際やってみて感じるところです」

今回のイベントを手掛けるのは、丸亀市綾歌町で北欧家具のセレクトショップ「CONNECT」を営む髙木智仁さんです。
髙木さんは5年前から、各地の空き家を改修してイベントスペースや新しい施設として再生させる取り組みを進めています。

(「フリッツ・ハンセン島」を企画・運営 髙木智仁さん)
「地域に空き家が増えて廃虚になっていくと、心地いい暮らしとは程遠いものになるので、僕たちができるところからインテリアの力を使って空き家をなんとか開けていく取り組みの1つにこの『フリッツ・ハンセン庵』が含まれる。その大きなきっかけづくりみたいな形でチャレンジさせていただいています」

2019年、「フリッツ・ハンセン」から家具の提供を受けて髙木さんは、1回目のイベント「フリッツ・ハンセン庵」を開催しました。
2回目となる今回は規模を拡大し、島内の10カ所に100点以上の家具を展示しています。

エッグチェア(創業150年記念モデル)

エッグチェア(創業150年記念モデル)

展示されている家具もそれぞれがまるでアートのよう。
1958年に誕生した「エッグチェア」はその名の通り卵のような丸みを帯びた形が特徴です。

(野口真菜アナウンサー)
「憧れのエッグチェア!すごい包まれている感。胎児になったようです…」

(「フリッツ・ハンセン島」を企画・運営 髙木智仁さん)
「特徴はまずヘッドレスト、頭を支える部分。せりだしたところが周辺の音を遮る、視界もちょっと遮るので、よりパーソナルな空間を音と視覚からコントロールしているんです」

(野口真菜アナウンサー)
「70年くらい愛される椅子と約100年の歴史がある建物の融合の仕方がすごいです。長く使われるものには理由があるんだなというのを体感できますね」

PK0 A(デザイン:ポール・ケアホルム 1952年)

PK0 A(デザイン:ポール・ケアホルム 1952年)

形が独特なこちらの椅子は70年前にデザインされたもの。当時は製造が難しく、わずかな数しか販売されなかったため「幻の作品」と呼ばれていました。

展示されているものの中には「椅子の台座」と「本島の石」を組み合わせた作品もあります。

北欧の家具が並ぶ休憩所「フリッツ・ハンセン庵」の建物自体にもさまざまな魅力があります。梁や階段は昔のものをそのまま残しています。

野口アナ「歴史を感じる部分をあえて残して共存させていく、というのはキーポイントなんでしょうか」
髙木さん「僕らがやるリノベーションは、元々持っている価値・ストーリーをうまく生かしながら、そこに新しいものをどう加えるかを一番意識してはいるので、こういうふうに生活していたんだなというのが感じ取ってもらえたら面白いかなと思っています」

地域には必ず❝光るポテンシャル❞がある

港のすぐ近くのカフェ「本島スタンド」は、もともとは定食屋さんでした。
プレオープン中のビール醸造所「久福ブルーイング本島」は商店だった建物を改修したものです。

(久福ブルーイング本島/久保田宏平さん)
「統一感や雰囲気は、フリッツハンセンの家具があるのとないのとでは全然違うので、ランプひとつにしても花器ひとつにしても、それきっかけで会話が広がることもあるので非常にありがたいです」

本島の人口は2022年9月時点で269人。2012年9月時点の433人から、この10年で4割近く減りました。
過疎化に伴い空き家も増えています。それでも髙木さんは本島の景色や歴史に可能性を感じています。

(「フリッツ・ハンセン島」を企画・運営 髙木智仁さん)
地域には、必ず何か光るポテンシャルがどの地域にもあると思っているんです。本島が持っている町並みもそうですし、どこにもない特別な文化や歴史があるなと思ったので、それを僕らがお手伝いできるのであればなんとか生かしていきたいなという思いで」

本島ではかつて海運業で知られた水夫たちが造船の腕を生かし「塩飽大工」として活躍しました。
その技術が光る建造物や当時の町並みが残る笠島地区は、香川県で唯一「重要伝統的建造物群保存地区」に選ばれています。
髙木さんは「島の歴史」と違う文化から生まれた「家具」を組み合わせることで新しい価値を生み出そうとしています。

(「フリッツ・ハンセン島」を企画・運営 髙木智仁さん)
「インテリアが持つ力として面白いのが、椅子1脚あるだけでなんとなくそこに人の気配みたいなものを感じますし、椅子があると座ってみたくなる。そこで滞在もできると思うので、僕らはインテリアの力を使って、土地にある日常の景色を少し違った視点で見せることによって非日常感を出すことで、建物や土地の良さをうまく引き出したいなと。そういうチャレンジ、取り組みを継続してやっていきたいなと思っています」

イベント、「フリッツ・ハンセン島」は瀬戸芸の秋会期と同じく11月6日まで行われます。
また終了後も多くの家具はその場所に展示されます。

笠島地区では年明けに古民家を改修した宿泊施設もオープンする予定です。

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