魔法にかかった島々 ~松山ケンイチと瀬戸内国際芸術祭~

現代アート
地域拓く

「海の復権」をテーマに、アートで島を活性化するという前代未聞の取り組みがスタートして15年―、国内外から観光客が押し寄せ経済波及効果は100億円を超えるとも試算され、地方創生の起爆剤として世界中から注目を集めています。香川県と岡山県の島々と港、沿岸部、全17の広大なエリアで展開される瀬戸内国際芸術祭は、日本最大級の現代アートの祭典です。過疎化・高齢化に悩む島をアートで元気にするという取り組みは、地域の特効薬になり得るのだろうか?俳優の松山ケンイチさんとアートディレクター北川フラムさんの対談も実現、あえて不便な場所で芸術祭を行うその深い理由に迫る―。

松山 ケンイチ

俳優
松山 ケンイチ
1985年生まれ、青森県出身。
2002年に俳優デビュー。以降多数の作品に出演。近年は2023年 大河ドラマ「どうする家康」、映画『ロストケア』、2024年 NHK前期連続テレビ小説「虎に翼」などに出演。今年はTBS 1月期 金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」に出演した。
俳優として第一線で活躍する中、2022年に国内の獣皮など活用しきれていない様々な資源を活かし、サスティナブルな循環を目的としたライフスタイルブランド「momiji」を立ち上げる。
伝統工芸など日本各地に眠る様々な資源を活かし、次の世代へ紡いでいけるよう活動の幅を広げている。

北川 フラム

アートディレクター
北川 フラム
「フラム」は本名で、ノルウェー語で「前進」の意味。1946年生まれ、新潟県高田市(現上越市)出身。国内外で多数の美術展などを企画し、アートによる地域づくりの実践として「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」など各地の芸術祭のアートディレクターを務める。
北川さんの手がける主な芸術祭

ブログBLOG

瀬戸内で活躍したアーティストの今①

2025.9.17

瀬戸芸には、世界中からアーティストが参加しています。瀬戸内に滞在し、瀬戸内の海や風を感じた彼らにとって、瀬戸芸での経験が次のステップにつながった人たちがいます。
台湾の染色アーティスト、ウェイ・リン・ヤンさんは、2016年、小豆島の廃校で海を表現した作品を作りました。そして今年、万博に合わせて、台湾文化を知ってほしいと開催した大阪の展示会「WE TAIWAN」では、台湾の伝統工芸でもある藍染めを使って、再び海を表現した作品を発表しました。海の水は、地球を巡る水でもあり、海を通して自然環境にも思いを馳せてほしいと、彼女は考えています。
約12年ぶりに再会したヤンさんは、今も変わらず柔らかな空気をまとったステキなアーティストです。これからの作品も楽しみです。

作品紹介 回遊」 ウェイ・リン・ヤン〈台湾〉

瀬戸内で活躍したアーティストの今②

2025.9.17

台湾のアート集団ラグジュアリー・ロジコ[豪華朗機工]〈台湾〉のメンバー、リン・コンインさんは、2022年の瀬戸内国際芸術祭で開催された「瀬戸内アジアフォーラム2022」に登壇。この時、リンさんの地域への思いや、プロセスを大切にする考え方に、共感したという北川フラムさんは、2023年に石川県珠洲市で開かれた芸術祭「奥能登芸術祭」で、ラグジュアリーロジコの作品を展示することに。

しかし、芸術祭直前の5月5日に震度6強の地震が能登半島を襲い、芸術祭の開催が3週間延期してしまいました。地元の土木関係の職人さんが復旧作業に従事するなか、作品の製作もストップ。そんなときに手を貸したのが小豆島の工場だったそうです。
そうして、無事作られた作品がこちら。

作品紹介 家のささやき」 ラグジュアリー・ロジコ[豪華朗機工]〈台湾〉 能登の黒い瓦を使ったこちらの作品は、瓦を通して、「記憶」、「家」、「人口」、「産業」など、素材と地域問題の関連性を表現しており、能登の歴史と暮らしに思いを馳せるものとなりました。
そして、芸術祭が終わった直後の2024年1月1日、最大震度7を記録した能登半島地震に襲われた今、能登は復興の最中にあります。そんな中、被害を免れた「家のささやき」は、今もしっかりと能登の土地に根をおろし、地域の人に愛されています。

タイアップ曲SONG

香川県高松発3ピースロックバンド「マタノシタシティー」が番組テーマ曲を担当! 2025年10月1日発売の1stアルバムより「夕暮れ」とタイアップしました。
青春のワンシーンを歌い上げた歌詞とメロディが番組に彩を添えてくれます。