【レポート】1月19日開催 おかやま100人カイギvol.19

2022年1月19日、おかやま100人カイギが開催されました。KSB岡山本社内のスタジオで繰り広げられたトークは、YouTubeLiveで全国配信。多くの人々にご視聴いただきました。

テーマは「新しい発見がひとつでもあること」そして「私も何かやってみたいと思えること」。いま頑張っている人を応援したい、エリアを超えて人と人とがつながるきっかけを作っていきたいと2019年8月に始まった「おかやま100人カイギ」も今回で登壇者は95組となり、解散まで残すところあと1回となりました。

5人のゲストによる会議の内容をレポートします。


【シェアアトリエで地域活性化】南 智之さん

大阪で生まれ育った南さんは高校卒業後、得意の英語を活かし海外でバックパッカー生活を経験。その後、アパレル商社に就職し、インドをメインに東南アジアを担当。結婚を機に退職すると、家具職人を目指して津山市にある職業訓練校で1年間家具作りを学びました。

現在は家具職人として忙しい日々を送りながら、NPO法人「海の校舎大島東小」の代表を務める南さん。笠岡市で廃校になっていた、約150年もの歴史がある木造校舎を利用して共同のアトリエを運営し、イベントを開くなど地域活性化に取り組んでいます。

木工家具づくりは使う機械が大きいなど広い工房を必要とします。また、ショールームが欲しいとかねてより考えていた南さんは、現在の『海の校舎』に出会いました。雰囲気のいい木造の校舎は木工家具づくりにとって素晴らしい環境だと感じる一方で、南さんだけではあまりにも広すぎることもあり、同じようにものづくりをしている人たち同士でシェアできないかと思い立ちました。

今まで面白いことや出会いを求めて世界中を旅し、いろいろな経験を経てきた南さんは、これからは自らが面白い場所を生み出し、育てていこう、『海の校舎』をどんどん発展させていこうと、場を共にして活動していきたい作家さんやクリエイターさんを現在も探し求めています。

昨年の2021年12月に校舎の広い敷地を利用して、『うみの市』という名前のマルシェを開催したところ2日間で2400人を超えるたくさんの人が訪れました。この成功を踏まえて今後は年2回マルシェを開催していきたいということで、次回は桜のきれいな4月に開催しようと南さんたちは計画を立てています。

シェアアトリエ 海の校舎 のサイトはこちら
https://uminokousha.com/


【日常にもっと花火を!】森上 真夢さん

岡山県岡山市出身の森上さんは大学卒業し、一般企業で就職。その後、2022年2月に、創業70周年を迎える岡山県で唯一の花火製造会社である家業を継ぎました。

しかし現状は厳しく、景気の低迷による資金元の減少や、年々増えていく観客数に伴う警備費の高騰により、全国的に花火大会が減少していく中、さらに新型コロナウイルスの影響で花火大会は一昨年から軒並み中止に追い込まれています。

そのような時代の流れに負けることなく、森上さんは新型コロナウイルスの早期収束への願い、そしてたくさんの方を花火で元気づけたいと、2020年の5月に花火が上がることの事前告知も観客も集めないサプライズ形式の打ち上げ花火「希望花火」というプロジェクトを企画し、実行しました。このようなサプライズ形式は岡山では初めてとのこと。

「希望花火」を見てくれた人々から、たくさんのお礼や感謝の声が寄せられる中、花火の持つ力を感じ、逆に元気づけられた森上さん。たくさんの人が同じ時間や情景を共有し、思いや感動を届けることができる花火という日本特有の素晴らしい文化をこれからも守っていきたいと、決意されたそうです。

花火を打ち上げること以外にも、たくさんの人に花火への関心を持ってもらう活動を続けています。花火を身近に感じてもらうため「日常にもっと花火を!」をテーマに花火についてSNSで情報発信やオリジナル商品の販売。子供たちへの取り組みとして花火の材料である「たまがわ」に絵付けをして火薬を詰めオリジナルの花火にして打ち上げるなどの花火づくり体験のワークショップ。大人にも向けた工場見学。

森上さんは、岡山市の夏の伝統行事として市民が誇りに思えるような花火大会が復活することを願いながら、これからもさまざまな取り組みに挑戦していくそうです。

有限会社 森上煙火工業所 のHPはこちら
https://morikami-enka.jp/


【コノヒトカンプロジェクト代表/Dear…ネイルサロン経営】三好 千尋さん

2017年から現在まで岡山県倉敷市でネイルサロンを経営する長野県出身の三好さん。コロナ禍をきっかけに、地域から孤立し心の貧困を抱えている子供たちが多くいること、同時に飲食店ではコロナの影響で廃棄せざるを得ない食材があることを知り、この双方の問題を第三者である大人が協力することで解決できないかを考えました。

一缶でお腹いっぱいになる缶詰を考案、「コノヒトカンプロジェクト」を発足しました。『コノヒトカン』のレシピは岡山県の料理長20名に協力してもらい、コノヒトカンプロジェクトが買い取りをするロス食材を使用して、何度も話し合い試作を繰り返しました。すべての生産工程は岡山県内で完結され、たくさんの人を巻き込みながら、新しいつながりがどんどん生まれていったそうです。

たくさんの人が関わり支援を受けた「コノヒトカンプロジェクト」には、「未来ある子供たちを救いたい」という想いが込められています。それだけでなく、この缶詰に共感してくれたスポンサー企業をラベルに記載するなど、誰に支援をしてもらったかを明確にすることで、子供たちに将来はどんな大人になりたいか想像してもらうためのきっかけ作りになればという願いも込められています。『コノヒトカン』をきっかけに大人も子供も顔が見え、仲間とともに心豊かな人が集まるコミュニティで繋がり、一緒になって地域を動かせるような活動を目指しています。

この缶詰に込めた思いを、「この‟ひと缶“から始まる絆、この‟人感”に詰まった小さな料理、この‟日と缶“で過ごす大切な日、‟コノヒトカン”で膨らむたくさんの想い、私たちは世界一あったかい缶詰を届けたい」と語る三好さん。
子ども達に胸を張って未来に希望を描ける社会を実現するために、プロジェクトを取り組み続けています。

コノヒトカンプロジェクト のHPはこちら
https://www.konohitokan.com/


【“未来を創る“臨床工学技士】平山 隆浩さん

山口県岩国育ちの平山さんは、「人の役に立ちたい」という漠然とした理由で医療職の臨床工学技士(CE)を志し、2010年に国家試験に合格して免許を取得後、新卒で地方の急性期病院に入職しました。

平山さんが初のCE職採用で入職した病院では、ベテランのCE が誰もいないだけでなくCEの仕事自体について知っている人もあまりいませんでした。仕事内容が明確化されていないほぼゼロからのスタート。そのとき平山さんは21歳でした。この病院でCE業務のすべての立ち上げを自ら動くことで実現させた平山さんは、たくさんのことに気付き、学び、人生の転機となりました。

自分で全てを作っていかなければいけない環境に入ることによって自分を変化させ、全ての事を「自分の事として取り組む姿勢」になった平山さん。その姿勢を続けていくうち、徐々に仕事が好きになり熱意も生まれ、その様子を見ている周りの人が助けてくれるようになりました。失敗もありますが、その経験すら糧にして出来る事も増えていきました。

修行のような日々を過ごした後、大学病院へ転職し、高度救命救急センターにて人工呼吸器やECMOなどの集中治療業務に従事。同時に研究、災害派遣、国際医療協力など様々な経験をしました。

2021年には医学博士を取得し、岡山大学大学院災害医療マネジメント学講座の助教に着任。現在は、行政や様々な医療機関の方とのCOVID-19対応や災害対策を企業と共に開発しています。
それまでは、病院の中での活動が中心の平山さんでしたが、この共創を通じて、病院の外、地域、社会に視野が広がっていきます。医療が病院の中にとどまらず、地域や社会とつながりながら、課題を解決する未来を目指されています。これまでに学んできた「自分事として取り組む姿勢」を大いに役立てながら、平山さんは日々仕事にやりがいを感じています。

21歳でゼロからのスタートを切ってから、様々な活動を重ね経験を積んできた平山さん。さらなる成長と変化の中で医療によって人々が救われる「未来を創る」ために、冒険のような毎日を過ごしています。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究所 のHPはこちら
https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/


【eスポーツを万人に開かれた文化に】山田 浩徳さん

オンラインゲーム上で仲間を作り会話を重ねたことで救われた経験を持つ山田さん。大学時代、単位が一つ足りず卒業できなかった当時、毎日何時間もゲームに没頭していたそうです。いつか自分もゲームで世の中に恩返しをしたいと思っていた中、新しいゲームの形の「eスポーツ」という言葉が広まり始めたため、これに貢献をしたいと会社設立に至りました。

現在は、中四国と東京を拠点に『あらゆる手段を通じ、万人に開かれた文化としてのeスポーツをつくる。』というミッションを掲げながらeスポーツイベント企画会社を経営しています。

eスポーツがしっかりと根付き、ゲームが大衆化していって欲しいという思いから、参加者が少しでもeスポーツに触れられる機会を増やし、次の大会にも出場したくなるような熱量を体感してもらいたいため、オンラインでも可能なeスポーツの大会などを、オフラインでの開催や大会に重きを置きつつ活動をしています。オフラインで大会を実施することで、プレイしているお子さんの姿を保護者の方が直に見ることができる。普段、家の中で子供たちは部屋の中にとじこもりゲームしその姿は親から見えないため、保護者のネガティブな想像力がe-sportsをよくないものとしてとらえてしまう。eスポーツをしている子供たちの姿を見て、誤ったとらえられ方を正したい、これが山田さんがオフラインの開催にこだわる理由です。また、優勝者に対しては賞金を出し、将来の夢や職業としてeスポーツ選手になりたいという人のいる環境づくりに取り組んでいます。

今までで特に印象に残っている取り組みは、様々な事情で学校へ行けない生徒のためのフリースクールを運営している代表者とゲーム専門の医療法人団体とのクロストークイベントを開催。ゲームプレーヤーのお子さんを持つ保護者の方が多く来られて熱心に話を聞く様子に、「保護者の方々がゲームに対して感じている課題を肌で感じました」と山田さんはいいます。

今後の活動については「東京一極集中のeスポーツだが、とにかく地域で根差していきながら、東京で情報を仕入れ、地域に貢献するという両輪で活動をしています。東京からだけではなくて、地域からでもeスポーツ選手は育つんだといった環境を作っていけたら」と語りました。

㈱DEPORTAR(デポルターレ)公式Twitterアカウントはこちら
https://twitter.com/DEPORTAR_e


いい意味で周りを巻き込み、いい流れにすることは大切だと感じたという南さん、様々な取り組みを聞き刺激になった森上さん、まだまだたくさんのことにチャレンジしていきたいと勇気や元気をもらえた三好さんや、地方でも都会に負けない取り組みをしていけたらという平山さん。地域に根ざして頑張っている人がたくさんいることを知れたという山田さんなど、今回もそれぞれの登壇者がつながることで、新しい気づきが生まれたカイギとなりました。

いよいよ最終回!次回vol.20は、3月2日(水)。オンラインで配信予定です。
ゲストの詳細は、FacebookやTwitterでご案内するので、お楽しみに!

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