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脳梗塞から3カ月…岡山の92歳の看板俳優が舞台に復帰 妻への思い演じる

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 脳梗塞からわずか3カ月で戻ってきました。岡山の劇団で活躍する92歳の看板俳優・岡田忠雄さんが脳梗塞から回復し、舞台に復帰しました。認知症の妻に対する想いを表した復帰公演に、温かい拍手が送られました。

 老いをテーマに演劇活動する劇団「OiBokkeShi(オイボッケシ)」看板俳優の岡田忠雄さん(92)です。高知の舞台が復帰公演になります。

(岡田忠雄さん) 「舞台で最期を終えたい」

 7月に脳梗塞で入院し、左側の視野や注意力が欠ける後遺症が残りました。  しかし、わずか1カ月ほどで退院。すべては演劇のため…

(劇団OiBokkeShi/主宰 菅原直樹さん) 「基本はいつもどおりで大丈夫です。不安に思わないで大丈夫です」 (岡田忠雄さん) 「本当はもうフラフラ。でもがんばってやってる。これが生きがいだから」

 今回は岡田さんが、10年ほど自宅で介護する妻・郁子さんとの介護生活を基にした演劇です。

(高知県立美術館/松本千鶴さん) 「オイボッケシの活動はここまで届いていて、やればやるほど、岡田さんが背筋を正して、もうすでにほろっと来るようなところもありましたし、楽しみです」

 岡田さんは少しおぼつかない足取りながらも熱演を見せます。この復帰公演で、主宰の菅原直樹さんはある重要な場面を作りました。

(劇団OiBokkeShi/主宰 菅原直樹さん) 「だけど私もうこんなに迷惑かけているんだったら、老人ホームに行ったほうがいいかな?って言ってきた時になんて答えるか」

 認知症で迷惑をかける妻が夫に別れを切り出した時に、夫が妻への思いをぶつける劇の最後のシーン。セリフは岡田さんが自身の思いをこめました。

(認知症の妻役) 「別れた方がいいんじゃないかって思うときがあって」


(岡田忠雄さん) 「お前がいたらな、頭にくるときがしょっちゅうあった。文句ばかりいいやがる。なんもできんくせに。だけどね、預けてみると考えたんだけど、おらなさみしいんよ。なんもできなくていいの。おってね、座ってるだけでいいの」

 演劇批評家は、岡田さんの魅力をこう話します。

(演劇批評家/藤原ちからさん) 「岡田さんの場合は、老いたけど、衰えたかというとちょっと違う気がする。全然マイナスじゃない。プラスとかかもよくわからない。プラスマイナスとか、勝ち負けとかなくなっちゃう」

 老いの価値観をも変えてしまう、劇団はさらなる表現を探し続けます。

(岡田忠雄さん) 「気力、やる気、舞台が命という気力がある。定年がないんだから棺おけに入る役もできるわ」

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